
訪問介護の現場で、私は何度も「人生の分かれ道」を目の当たりにしてきました。
毎日慎重に、穏やかに過ごしていた高齢の方が、たった一度の転倒で入院を余儀なくされ、その後の生活ががらりと変わってしまう瞬間です。
特に、ベッドから降りる際や、立ち上がりの瞬間の「足元の滑り」。 踏ん張りが効かず、股関節を骨折してしまうケースは後を絶ちません。一度入院してしまうと、元の生活機能を取り戻すことは想像以上に困難です。入院前は元気に外出できていた方が、退院後は車椅子生活となり、お風呂に一人で入ることも難しくなってしまう……。そんな現場をたくさん見てきました。
そして、何よりも忘れてはならない現実があります。 これまでご自身で日常生活を送れていた方は、まだ介護保険を使っていないケースがほとんどです。しかし、転倒したその日から急に「人の手」が必要になります。

介護サービスをすぐに利用したくても、手続きや調整にはどうしても時間が必要です。その間、頼れるのはご家族やご近所の方など、身近な人たちしかいません。 しかし、そのサポートは日常的に、そして頻繁に必要とされます。結果として、頼られるご家族や周りの方々の負担は、計り知れないほど大きなものになってしまうのです。
私は、そんな「お互いが望んでいない、つらい時間」を経験してほしくありません。 だからこそ、私は心から思うのです。「まだ元気だから」と安心するのではなく、今のうちに環境を整えておくことが、親御さんの自立を守り、そしてご家族の心を守る唯一の方法だと。
大きなリフォームは必要ありません。 まずは「あ、ここ危ないかも?」と気づくことから、一緒に始めていきませんか。

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